ちょびっと難しいかも知れませんがポイントを抑えて、マグボトルとか真空断熱ボトルと言われる、いわゆる水筒類の話を少々。
水筒はなぜ熱が逃げないのか?
みなさん、マグボトルとか水筒とよばれる入れ物にお茶とか入れてつかったことがございますでしょうか。
小さい頃にちょっとつかった程度でも良いので思いだして頂きたいのですが、とにかく中身が冷たい(温かい)まま数時間持つんですよね。
これは実はちょーっと難しい科学の話が絡んでいるのですが、大雑把につかみだけおはなししつつ、それを踏まえて、最も性能が良い水筒の選び方を書きます。
大まかな断熱の種類
さて、水筒の中身がなぜぬるくならないのか。それは、断熱しているからです。
じゃあ断熱ってなんでしょう。辞書によると、
だん‐ねつ【断熱】 の解説
[名](スル)外部との熱の出入りをさえぎること。「二重窓にして―する」
つまり、水筒の中身の冷たさや暖かさが水筒の外に逃げて行ってしまわないように、熱の移動をしないようにする…そんな工夫が水筒に施されていると予想できます。
では、その断熱をするための工夫とは?大きく分けて
- 固体熱伝導
- 気体熱伝導
- 輻射(ふくしゃ)
の3つあります。これらの熱伝導をそれぞれ対策することで、水筒の中身がぬるくならないようになっているわけですね。
固体熱伝導
まず固体熱伝導。これはその名の通り固体から熱が伝わる現象です。
ピンとこないと思うので具体例を上げてみましょう。野菜炒めをつくるときは熱したフライパンに油を引いて野菜を投入すると思います。
なぜ野菜が炒められるかと言うと、温めたフライパンから野菜に熱が伝わるからです。これが固体熱伝導の例ですね。厳密に言うと3番めの輻射もあるのですが、この見出しでは固体に焦点を当てます。
ではこれが水筒とどう関係があるのかというと、水筒の外側から内側に向かって熱が伝わり、中身がぬるくなるのを防ぐという工夫に繋がっていきます。
具体的には内側と外側を二層構造にして、その間を真空にするという方法を取っている場合が多いです。こちらの図でいうところの濃い灰色の部分がそこに相当します。
というわけで、まずは固体熱伝導というものがあります。
気体熱伝導・対流
つづいて気体熱伝導。これは気体から熱が伝わる現象です。
一番わかりやすいのは「暑い」というやつですね。あれって太陽で温められた空気があたりに存在するから暑いわけですよね。
もともと空気というのは熱を通しにくいのですが、水筒の場合「長時間持つ」ということを前提として熱伝導を防止してあります。
これは先程説明した「間を真空にする」という方法で気体の熱伝導を防止しています。空気ないんですからそりゃ伝わりません。空気より熱伝導率の低い気体を充填することもあります。
輻射
さいごに輻射(ふくしゃ)。太陽から空気のない宇宙空間を隔てて太陽光が降り注いで地球を温めているわけですが、固体も気体もないのにどうやって熱を伝えているんだ、という話ですよね。
この現象の正体が輻射で、要するにあっつい電磁波がびーっと降り注いでいます。そして地表が温められて、地表から空気に熱が伝わって、それなりの気温になるという感じですね。
こんなふうに空気や固体を通さない電磁波によるエネルギーの伝達が輻射です。赤外線も電磁波の一種です。
もっと身近な例だとハロゲンヒーターがこれに該当します。
あれはストーブやエアコンと違って赤外線をびーっと発射する装置で、それによって壁や床が温められて部屋の空気に伝わる、という感じです。
水筒の場合も輻射の影響を受けるのですが、こいつは金属に当たると反射する性質があるので、水筒を金属で作ってしまえばある程度防ぐことができます。水筒が大体金属製なのはそういうことなんですね。 ˇ
どうやってマグボトルを選べばよいか?
さて、小難しい説明をしてきましたが結局どういう水筒を選べば良いんだよという話でございます。 大雑把に説明していきましょう。
口が小さい
まず飲み口が小さいこと。
先程説明した「固体熱伝導」「気体熱伝導」への耐性ですが、水筒の側面は最強でも装甲の薄い飲み口が弱点になります。
だったら物理的に弱点の飲み口が小さければそれだけぬるくなりにくいということですね。
一方、飲み口が小さいと洗いにくかったり氷が入らなかったりと問題も起こるので、そこはバランスです。
すべて金属製
つづいて金属でできているということ。
これは水筒の大部分がそれに該当するのであまり気にしなくて良いのですが、安い水筒を適当に買うとプラスチック製だったりするので、それは避けてください。
なぜならば、少し前に説明した通りプラスチックでは輻射を防げないからです。輻射は何も太陽やハロゲンヒーターに限ったものじゃなくて日常に潜んでいますので(照明とか)、対策するに越したことはありません。
それとそもそもプラスチック製の時点で真空にしたときの圧力に耐えられない気がするので、他の面でもあやしいです。
すべての条件を満たす水筒
これらをすべて満足する水筒となってくると意外と少なくて(特に飲み口はデザイン重視で大きめの物が多い)、結構選択に迷います。
かといって「俺は水筒だ!」って主張してくる金属ピカピカしたやつはきょうび古いし露骨すぎてダサいじゃないですか。
これを踏まえた上で、「機能がばっちりでかっこいいorかわいいやつ」となると個人的にはタイガー魔法瓶の真空断熱ボトル かなぁと思います。
これほんとかっこいいんですって。ほらほら。
これだけじゃなくて、女優ののんさんプロデュースのもっと個性的なデザインのもの のもあります。
タイガー魔法瓶といえばこの手の容器の老舗なわけですが、
- 真空断熱構造
- ステンレス製
- 小さめの飲み口
とこれまで説明した用件を満たしています。結局王道の大手に行き着くわけですが、やはりそれだけの安心感があるわけですね。
むすび
大手というとそれこそ見るからにステンレスというピカピカしたものを想像しがちでしたが、時代の流れに合わせて格好いいものも作られていることがよくわかりました。
最近は気温もおかしくなりがちで水分補給がかなり重要です。かといってペットボトル飲料だと高く付きすぎてしまうので、こういった小さな工夫でお手頃に熱中症を予防していくといいかもしれませんね。